チェダッテ
島根県隠岐郡海士町 2017年
福祉×Iターン
移住者×集落

島根県隠岐郡海士町は、日本海の島根半島沖合約60kmに位置する離島で人口は2,400人足らずの町。いち早く積極的にIターン移住者を受け入れ、産業・観光・教育の活性化を推進されていました。島を支える福祉も人材を呼び込む活動を実施し、移住してみたい福祉従事者を一旦受け入れる住まいを整備することが目的でした。
Iターン移住者は集落に馴染め、集落にも将来の暮らしに発展性のある計画を提案しました。

物件名:チェダッテ
(福祉事業従事者雇用促進拠点)
事業主:海士町
場所:島根県隠岐郡海士町
完成:2017年
用途:ホームシェアリング+簡易宿所
構造:木造地上1階建(改修)
面積:200㎡
監修:ケア・プロデュースRX組

建物は状態のよい民家で、できる限り既存を活かしながら快適性を確保する設計としました。
ホームシェアリングは3室。共同キッチンは建物の中心で正面玄関に近い位置にして、Iターン移住者と島民とのコミュニケーションの取りやすさを最優先に考えました。コミュニケーションツールとして壁一面を黒板塗装仕上げとしました。
取れた魚のおすそ分けがよくあるというのを考慮し、キッチンはステンレスとしました。

広間は本土からの視察者、福祉を学ぶ学生の研修などを受け入れられるよう、簡易宿所として整備しました。照明計画を見直し、既存建物の良さを引き立たせ、研修に適した照度環境を整えました。

トイレ・洗面所・キッチンの水廻りは、お年寄りの在宅居住のモデルルームとなることを想定した設計をしました。
改修したい島民が来て実際使ってみて、福祉の専門家であるIターン移住者がその人に合った設備をアドバイスする。島全体に足りない状況を分析し、建物にさらなる役割を与えました。

島内には14の集落があります。将来、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、各集落に集落介護員を配置する構想があります。
集落介護員の住まいとして、今回のような民家を各集落に1か所ずつ整備すれば、コミュニティの中心、自宅では住みにくくなった方の住まい、バリアフリーのトイレ等、集落単位での暮らしの支え合いができる基盤にもなりえる、将来構想にもヒントとなる計画を提案しました。